年次有給休暇の管理の秘訣=年1回の基準日統一方式を採用しないこと)
年に1回の基準日を設ける方式は、初年度に10日間の有給を余計に与えることになる。中には入社1年目で辞める人もいるので、それを取られると大変損をする。このために有給は、従業員の入社日に合わせて個人別に管理することとし、法律上の日数を与えることが望ましい。
例 3月1日に入社して、翌年5月に退職したらどうなるか?
「4月1日を基準日にしていたケース」
入社3月1日→4月1日に有給10日→翌年4月1日に有給11日
「入社日を基準日にしていたケース」
入社3月1日→9月1日に有給10日
答え=4月1日基準日のケースは、有給11日分が損をする。
(有給は入社日基準方式を採用する)
入社日基準の方式というと、一人ひとりの管理がいるので作業が面倒な感じがする。しかし、北見事務所が提案する方式を採用すれば、年1回の基準日方式と同じような管理で済むようになる。
(正確には入社月基準方式である)
入社日はバラバラであるため、出勤率の算定がわずらわしい。そこで直金の賃金計算期間の始まり日をもって基準日とする。
例 会社は20日締め切りで末日払いだった。6月5日に入社したら、前月の5月21日入社とみなす。
作業手順
(入社時の作業)
① 今後10年分の有給の日数を記入する。日数は別表1から拾う。
② パートタイマーの有給は「週30時間以上、週5日以上、年間217日以上」のいずれかに該当する場合は一般労働者と同じ日数にする。それを下回る場合は別表2から拾う。
③ 「基準日」は「入社日の直近の賃金計算期間の始まりの日」とする。
④ 計画消化日があれば1年分だけ記入する。
(毎月の作業)
① 欠勤した人がいれば記入する。
② 有給の取得日を記入する。有給は前年度発生分から消化する。
③ 有給の取得は基本的に1日を単位とするが、希望があれば半日有給も認める。その時は0.5日とする。
④ 有給は基本的に1週間前までに書面で申請することを徹底する。ただし病気の場合は当日申請を認める。
⑤ 有給の残り日数が少ない人は、残り日数があるかどうかをチェックする。
(年に1回の作業=カレンダーの最初の月)
① 従業員の大半は8割以上出勤している。従って出勤率は気になる人だけチェックする。
② 計画消化日があれば記入する。
③ 前年度発生分で未消化のものは消滅させる。
④ 当年度発生分で未消化のものは翌年に繰り越す。
(出勤率の算出)
有給は「1年間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤」しなければ発生しない。つまり欠勤が2割を超えない限り発生することになる。この日数の計算は「1年間(もしくは半年間)の平均日数」でカウントする。
例 年間休日90日の場合
(365日-年間休日数90日)×0.2=年間で55日以上の欠勤があるかどうか
(365日-年間休日数90日)×0.2×0.5=半年間で27日以上の欠勤があるかどうか
「出勤率が8割以上あり、有給を残しているに決まっている人」は、管理の作業を省くことが可能です。その場合は以下のように作業します。
(毎月の作業)
① 勤した日を記入する。
② 有給の取得日を記入する。
(長期間休んで有給を使った場合)
①有給が何日残っているのか、その時になって計算する。
年次有給休暇の管理表
氏名 入社 年 月 日 有給基準日 年 月 日
注:有給基準日=「入社日の直近の賃金計算期間の始まりの日」の半年後
例:賃金計算が20日締め切りの場合
平成12年5月5日入社→4月21日入社とみなす→10月21日を有給基準日とする。
| |
|
年 |
|
年 |
|
年 |
|
年 |
|
年 |
| |
前年 |
当年 |
前年 |
当年 |
前年 |
当年 |
前年 |
当年 |
前年 |
当年 |
| 日数 |
日 |
日 |
日 |
日 |
日 |
日 |
日 |
日 |
日 |
日 |
| 1 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 2 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 3 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 4 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 5 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 6 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 7 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 8 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 9 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 10 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 11 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 12 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 13 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 14 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 15 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 16 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 17 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 18 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 19 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 20 |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
/ |
| 残 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
| 欠勤日数 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
| 出勤率 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
有給休暇の日数表
| 入社年月日(平成) |
平成12年度における勤務年数 |
平成12年度 |
平成13年度以降 |
| 12.10.1 |
|
|
10日 |
| 11.10.1~12.9.30 |
6ヶ月 |
10日 |
11日 |
| 10.10.1~11.9.30 |
1年6ヶ月 |
11日 |
12日 |
| 9.10.1~10.9.30 |
2年6ヶ月 |
12日 |
14日 |
| 8.10.1~9.9.30 |
3年6ヶ月 |
14日 |
16日 |
| 7.10.1~8.9.30 4年6ヶ月 |
16日 |
18日 |
| 6.10.1~7.9.30 |
5年6ヶ月 |
17日 |
20日 |
| 5.10.1~6.9.30 |
6年6ヶ月 |
18日 |
20日 |
| 5.4.1~5.9.30 |
7年 |
18日 |
20日 |
| 4.4,1~5.3.31 |
8年 |
19日 |
20日 |
| 3.4.1~4.3.31 |
9年 |
20日 |
20日 |
| 2.4.1~3.3.31 |
10年 |
20日 |
20日 |
| |
|
|
|
| |
|
|
|
パートタイマーの有給休暇の日数
| 週所定日数 |
4日 |
4日 |
3日 |
3日 |
2日 |
2日 |
1日 |
1日 |
| 年間の日数 |
160日-216日 |
160日-216日 |
121日-168日 |
121日-168日 |
73日-120日 |
73日-120日 |
48日-72日 |
48日-72日 |
| |
12年度 |
13年度以降 |
12年度 |
13年度以降 |
12年度 |
13年度以降 |
12年度 |
13年度以降 |
| 6ヶ月 |
7 |
7 |
5 |
5 |
3 |
3 |
1 |
1 |
| 1年6ヶ月 |
8 |
8 |
6 |
6 |
4 |
4 |
2 |
2 |
| 2年6ヶ月 |
9 |
9 |
6 |
6 |
4 |
4 |
2 |
2 |
| 3年6ヶ月 |
10 |
10 |
7 |
7 |
5 |
5 |
2 |
2 |
| 4年6ヶ月 |
12 |
12 |
9 |
9 |
6 |
6 |
3 |
3 |
| 5年6ヶ月 |
12 |
13 |
9 |
10 |
6 |
6 |
3 |
3 |
| 6年6ヶ月 |
13 |
15 |
10 |
11 |
6 |
7 |
3 |
3 |
| 7年6ヶ月 |
14 |
15 |
10 |
11 |
7 |
7 |
3 |
3 |
| 8年6ヶ月 |
15 |
15 |
11 |
11 |
7 |
7 |
3 |
3 |
| 9年6ヶ月 |
15 |
15 |
11 |
11 |
7 |
7 |
3 |
3 |
有給休暇に関するQ&A
Q 「事業の正当な運営を妨げる事由が生じたので、その日を休暇日とするわけにはいかない」という時季変更権を使って、多忙な日に有給を使わないように言えるか?
A 業務が多忙な時季は、有給の使用を控えるように従業員に申し出ることは当然のこと。しかし、使用者には時季変更権があるといっても、実際には単に多忙であるという理由だけでは法律的に通らないことは過去の判例で明白になっている。
Q 有給の取得の目的を記載させても良いか?
A 「利用目的によって有給の使用を制限する」のは問題だが、そういうことがなければ記載させること自体は自由である。
Q 先月退職した従業員から電話があり「有給を残していたので請求したい」と言ってきた。応じる義務があるか?
A 有給は在職中でなければ請求できないので、応じる必要はない。
Q 有給の計画消化日に出勤した人の扱いはどうすれば良いのか?
A 本来出勤するべき日に出勤したのだから休日出勤手当は不要である。しかし替わりに有給を取得するように奨励した方が無難である。
Q 有給の計画消化日があるにも関わらず、その前に有給を消化した人がいるが?
A 欠勤扱いにして構わない。
Q 有給の1日あたりの単価はどう算出するのか?
A 法律的には3つの選択肢があり、どれを選択するのか就業規則で定めれば良い。北見事務所としては②の「所定労働時間に勤務した時に支払われる賃金」をお勧めしている。
①平均賃金②所定労働時間に勤務した時に支払われる賃金③健康保険の標準報酬日額
Q パートタイマーと結んだ雇用契約書は1日5時間勤務になっているが、実際には8時間勤務している。有給は5時間分なのか8時間分なのか?
A 所定労働時間分の賃金で良いから5時間分の金額で問題ない。
Q 10年前に入社した時は週5日勤務だったが、知らない間に週3日勤務に変っていた。「8割出勤しているのだから有給がほしい」と要求されたが?
A 改めて雇用契約書を交わし、週何日出勤なのか定めてほしい。
Q 5ヶ月間の雇用契約を更新すれば、有給が発生しないので会社が得するか?
A 「実際に勤務している期間」で判断するので、初出社日から6ヵ月後に有給が発生するのは変らない。
Q 定年後に継続雇用するときは、勤務年数は0年になるのか?
A 実際に継続雇用しているのならば、前の勤務年数も通算して算出することになる。
Q 退職時に有給を求められた。「時季変更権」を使って拒否できないか?
A 退職時には時季変更権を行使できない。従って退職時の有給は拒否できない。
Q 出勤率を算出するときに、欠勤扱いするものと、欠勤扱いしないものとを、どう区分するのか?
A それは以下のように定められている。
算入するもの=業務上災害の休業、育児休業、産前産後休業、介護休業、年次有給休暇
計算から除外するもの=使用者の責に帰すべき休業日、ストライキの日、休日労働日
算入するかどうか自由なもの=通勤災害の休業日、生理休暇日、会社休暇日、休職期間